三角点探訪日記

全国に約10万点ある三角点を訪ねている
探索人ヤナギの探訪記録
目指せ!10万訪座(笑)

第8回 日本百名山・男体山にある三角点(栃木県日光市)

点名:男体山 2014年08月24日(日)【過去の記録】

概要

男体山全容

 日本百名山・男体山。言わずと知れた日光市に存在する円錐形の秀麗な独立峰。登った事はなくても、その山容を見た事がある方は多いのではないかと思います。
 男体山に関して以下『日本山名辞典』(三省堂)を引用します。

男体山(二荒山・国神山・黒神山・日光富士)標高2486m …略… 日光火山群、中禅寺湖北岸にそびえる円錐状成層火山。山頂に直径400mの旧火口がある。安山岩からなり、放射谷が多い。1等三角点がある。782(延暦1)年に勝道上人が開山したときは補陀落山と呼び、のち二荒山と改称。弘法大師が「にこう山」と読み、日光の名が出たといわれる。修験道の山と知られ、南麓に二荒山神社があり、山頂に奥社がある。以下略

 この文章を読む限り、有名観光地“日光”の名称のルーツはこの山にあると読み取れます。ふだらく → ふたら/二荒 → にこう → にっこうと転訛していったと記載されています。また、南麓にある中禅寺湖もまた勝道上人が発見したとされていて、つまりこの地は同上人が開いた土地といえるのではないでしょうか。
 では男体山の山名はどこからきているのでしょうか?名著『日本百名山』深田久弥著(新潮文庫)男体山の項にこのような記述があります。

男体山という名はどこから来たか。 …略… 昔からわが国には二峰並立の山を、一を男神とし、他を女神とする慣わしがある。 …略… 双峰というわけではないが、同じ山続きの女峰山と相対して付けられた名前であろう。しかも男体と女峰との間に、大真名子・小真名子山(真名子は愛子の意か)があり、やや北にそれて太郎山があるのも、いかにも一家族の山という気がして面白い。

 まぁ、古くからの慣わしであると……。でもまさか五人家族とは、この可愛らしい設定に思わす笑みがこぼれてしまうのは私だけでしょうか?
 勝道上人は開山するにあたって、二度登頂に失敗しています。三度目も二度のビバーク(注1)を経て登頂を果たすほどの難路だったそうです。登山道が無いですし、当然地図もない未開の地であったわけで、相当な困難が伴ったと考えられます。
 山の何が楽しみで登るかは人により千差万別ですが、山の稜線を歩きたいという人が多いのではないかと思います。私個人的にも、やはり稜線歩きが一番楽しい考えている一人ですが、富士山や男体山などの円錐形の独立峰の稜線は、山頂のお鉢の部分のみで全行程の九割以上が登るだけという、まさに修行にふさわしい(?)山で尻込みしてしまうのですが男体山というネームバリューに負けて訪座(注2)しました。
 ちなみに男体山は全部で4つの三角点があります。その他の三角点のレポートに関してはまた別の機会に…。

取付

男体山地形図

 男体山は主に南北に二つの登山口があります。東側にも林道の入り口がありそこから4合目に行けるのですが入れるれるかどうかは不明です。百名山ということもあり、事前に登山道を地形図で確認し頭に入れておけば、まず道迷いをすることはないでしょう。私個人の経験上登山での登りでの所要時間は、地図上の距離から割り出すのではなく、標高差から割り出すほうがより正確な時間が得られます。200m登る所要時間は休憩も含めて約1時間かかります。大抵のガイドブックは所要時間に休憩が含まれていません。休憩には個人差があり所要時間に含めづらいというのがその理由でしょう。男体山を1時間=200mで計算してみると、山頂が2486m、登山口の二荒山神社が1274m、その標高差実に約1200m、所要時間6時間と割り出せます。ちなみに『山と高原地図13 2012年版日光』では休憩無しで3時間半との記載があります。こういった参考時間はあくまで目安と考えておいた方がよいでしょう。(って当たり前か)余談ですが、観光地化された山は大抵、標高差600m位(約3時間)になるように設計されている場合が多い気がします。
 今回は南麓の二荒山神社から登っていきます。ちなみに二荒山神社側から登れるのは、期間5月5日~10月25日、朝7:00~で入山料500円がかかります。支払うと登山道案内地図とお守りが貰えます。

道程

 二荒山神社参道の入口です。両脇にある杉が入口なのに既に御神木レベルの太さがあり圧倒されます。期待と不安入り混じった心境で境内に入っていきます。

 緊張していたせいか、登山口の写真がが無くいきなり登っている写真になります💧
 さすが百名山だけに登山者が前後だけでも10人位います。普段、人が立ち入らないような場所と違って気楽に登れます。

男体山登山道入口付近

 1合目。日光の山は気候が厳しいらしく男体山に限らず地面に雑草があまり生えておらず、代わりに笹で埋め尽くされていることが多くとても美しい景観です。

男体山1合目付近

 3合目から4合目にかけては林道を使用します。全行程でここが唯一の息抜きの場所となっています。それにしても笹が作り物のように美しい。

男体山3合目林道

 4合目。ここからまた斜面が急な登山道が始まります。

男体山4合目付近

 5合目付近。小屋があります。

男体山5合目付近

 6合目付近。疲れているせいか写真が少ないし記憶も薄い💧

男体山6合目付近

 7合目。岩場が増えてきて、更に登りづらくなって来ています。勝道上人の苦労が偲ばれます。

男体山7合目付近

 8合目。小屋があります。山を登っていていつも思うのは、山頂に近づくほど疲れがたまってくるのに、追い打ちをかけるように斜面もきつくなるということ。
 おかしいでしょw

男体山8合目付近

 山頂付近になると森林限界なのか、土の性質なのか植物が生えておらず、視界が開けます。疲れた体に歩きにくい砂地の斜面はこたえます。

男体山森林限界越え

 山頂に到着です。二荒山神社奥宮がみえてきました。三角点男体山までもうすぐです。

男体山山頂付近二荒山神社奥宮

到達

一等三角点・男体山

一等三角点 男体山
 この三角点は珍しく四角錐の物体が丁度帽子のように載っていて可愛らしいですね。後にも先にも四角錐の物体乗っている三角点は今の所ここしかないです。石を外してみたらしっかりと十のマークがありました。本点と四角錐の物体表面には浸食に違いがあるため、国土地理院の職員か二荒山神社の方か、もしくはその他の誰かが後に乗せたものだと思われます。いずれにしても、標石で一番重要な個所は上面の十マークでありそれを保護するという意味では理にかなっています。当然撮影後は元に戻しました。

標石上部

 三角点の側から見上げると天へと突きあげる大剣が目につきます。宗教的なものなのだろうけど、避雷針の役目も果たしているのかなって…違うかな?

男体山山頂大剣

 実は男体山のお鉢には2つの三角点が存在します。1つは、本ページで紹介した一等三角点・男体山。そしてもう1つがこの崖の先にある三等三角点・二荒山。しかし残念ながら、この後、侵入を阻むかのような雷が発生し断念しています。
 いつか再挑戦し、このブログで紹介できたらと考えています。

男体山三等三角点二荒山への道

データ

点 名 男体山
等 級 一等三角点
設置年 明治26年09月04日
所在地 栃木県日光市中宮祠2478番1
時 間 往復約8時間
難易度 ★★★☆☆
一口メモ … とにかく体力を要します、途中でも無理だと感じたら下山する勇気を。


注1)… 野宿、露営。山小屋やテントなしで宿泊すること。
注2)… 三角点を訪ねること。

当ブログを参考に、実際に行かれて起きる不利益に対して当ブログ管理者は一切責任を負いません。  

参考文献

三省堂 日本山名事典
三省堂 日本山名事典
三省堂
日本百名山 (新潮文庫)
日本百名山 (新潮文庫)
新潮社
山と高原地図 日光 白根山・男体山 2017 (登山地図 | マップル)
山と高原地図 日光 白根山・男体山 2017 (登山地図 | マップル)
昭文社

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